花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その12「弔いには何故、白い菊なのか?」



トピック イメージ 花 日本の切り花の流通量で「キク」はダントツです。それはキクが弔事で使われるからだろうという事は別のお話の中でも書いたことなのですけど、考えてみれば、何故、弔いにはキクなのでしょうか? しかも「白い菊」…。お葬式の祭壇には白菊が多く使われています。これはまず、「何故、菊なのか?」と「何故、白なのか?」を分けて考えてみる必要がありそうです。

まず、「何故、菊なのか?」ですが、これには諸説あるようです。「皇室の紋章が菊なので、格調が高い」「日本の国花が菊であるので、とても厳粛である」「菊の花の香りが、お香に似ている」「菊の花言葉が”格調高い”である事」「菊の葉や花には、それを食したり、菊が生えている付近の水を飲むと長生きができるという言い伝えがあり、葬儀への参列者の健康を願う」等々、他にも様々にあります。

ちなみに、キリスト教の葬儀では白いカーネーションが多いようですが、無宗教葬などの場合は、白い菊も使われるようです。菊を葬儀に使うのは明治以降に定着した、と言われていますが、フランスでは祭壇に菊の花を飾る文化があったため、それが日本でも広まったという説が有力視されています。そもそも菊には「邪気払い」「無病息災」「延命長寿」といった意味があるようで、それが葬儀と結びつくには何となく不自然な気もします。日本では古くから葬儀の際には樒(しきみ)が用いられ、菊は特に使われていません。

私としては、菊は栽培しやすく寿命が長くて調達しやすい「身近な」花であり、独特な香りがします。その香りには人の心を落ち着かせる効果(のぼせを押さえる薬効があるようです)があり、それが、葬儀で悲しんでいる者の気持ちを和らげてくれます。実際、個人的にも確かにそう感じます。そのような理由から、菊を葬儀で使う事が定着していったのだろう、というのが、一番シックリと来る「答え」です。

次に「何故、白なのか?」という事ですけど、そもそも、日本で弔いの色は「白」です。その昔は麻などで作った簡素な白い服が葬儀に用いられていました。これは、中国でもそうですし、イスラム教徒も白喪服であったそうです。西洋でも15世紀位までは白で、それ以後、キリスト教の教義(カトリック)の影響で「黒」に変わったようです。おそらく「死」のイメージでしょう。それとは別に、キリスト教でも「プロテスタント」には「黒」が道徳的な色とされ、鮮やかな色は不道徳であるという倫理観を持っていたようで、礼装として黒い燕尾服が生まれました。日本でも明治に西洋のブラックフォーマルに倣って、黒が礼服となったようです。ですから、弔いの場の色が「白から黒」へ変わっていったという事です。ところで、皆様もご記憶にあると思いますが、歌舞伎俳優、中村勘三郎の葬儀で好江夫人が身に着けられていたのは「白い衣装」でした。

つまり、礼装としては黒になりましたが、もともとの日本の文化では「弔いは白」であった訳ですから、それが菊の色として残った(続いた)という事でしょう。最近では日本のお葬式でも白木の祭壇に洋花を飾る事が増えてきているようですけど、大正大学文学部の藤井正雄教授(宗教学)によれば、「日本人にとって、白は次の世界への旅立ちの色」だそうです。亡くなられた方の装束は「白」です。

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