花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その15「最後に現れた植物 蘭(ラン)の戦略 昆虫との共進化」


ランは、20,000種を超えるキクと同じくらいの種を持ち、キクと並んで最も地上で繁栄している花だそうです。キクもそうですけど、ランの花にも熱心なマニアの方がいて、ランの原種となると、マニア垂涎ものだそうで。ちなみに、花の先祖である「被子植物」は今から1億4千年~2億年くらい前の中生代ジュラ紀に登場し、その後、白亜紀中期以降に多様化し始めたとされていますが、ランは7600年~8400年前の白亜紀後期に現れた事が最近の研究で分かったそうです。白亜紀後期といえばまだ恐竜が全盛の時代で、恐竜たちが見たランはどんな花だったのでしょうか。

このランは地球上で最後に現れた植物だといわれていますが、遅れて現れたものの常で、植物の繁栄しやすい地上は既に他の植物で覆われていたようです。ランはそんな環境の中で生きていくための苦労を始める事になります。まず、生活するための場所ですが、木や岩の上位しかありません。木に生えるといってもヤドリギみたいな「寄生」ではなく、生活の場としてその表面をお借りする「着生(ちゃくせい)」ということだそうで、木から養分は頂かないようです。郊外にしか家を建てる場所が無く、遠距離通勤を続けるサラリーマンのような苦労があったのでしょうね。ちょっと、違うかもしれませんが…。

そんなラン達が繁栄していくために取った「戦略」がとても興味深い方策です。それは、「昆虫との共進化」と呼ばれるのもので、共進化とは大まかに言えば「密接な関係を持つ複数の種が、お互いに影響を及ぼし合って進化する」ことです。ランは子孫を増やすための受粉のパートナーとして「昆虫」と手を組みます。というか、蜂や蛾、蝿などの昆虫を利用します。ランの花が他の植物には無いほど多様な姿をしているのはそのためだそうです。ランの中には、虫そっくりの花を咲かせるものや、機械のように見える形を持ったものや、中にはエロティックというか、グロテスクなものまで様々な形がありますけど、それはパートナーである昆虫を利用するための試行錯誤から進化したためなのでしょう。

蜂を利用するランの花は甘い香りを出して誘います。面白いのは、その花びらに蜂が蜜の場所を見つけやすいように「車線のような模様」を持っているものです。それは「ハニーガイド」と呼ばれ、それに誘導されて蜂は花の蜜を御馳走になり、お土産に「花粉」を付けられます。蜂は赤色が見えないので、ハニーガイドは青系の色の模様となっています。また、蛾を利用するランは、夜だけ匂いを出すそうです。蛾は夜行性ですから色はよく見えません。ですから、香りに敏感な蛾に対して、夜だけ臭いを出すという省エネ構造になっているということです。また、メスの蜂にそっくりな花を咲かせてオスの蜂がそれに抱きついてきた時に花粉を付けるというものもいます。その花はメスの蜂のフェロモンそっくりの分泌物まで出すそうです。ハンマーオーキッドという名前のランは、メスの蜂に似た擬態でオスの蜂に抱きつかせ、その勢いで、ハンマーに似た花が背中からオスの身体に花粉を付けます。また、いったん蜂が中に入ったら外に出られない花を持ち、困った蜂に一箇所だけ出口を用意して、そこから出る時に花粉を付けたり…。

まさにあの手この手です。その力強さが、今日の大繁栄につながっているということでしょう。ランが園芸種とされたのは近世からだそうですけど、人の手を借りて様々な種類が生まれ、今では10万種の園芸種があると言われています。その多様な姿が園芸ファンを虜にしているのでしょう。ちなみに、ランというとどこか高級でマニアックな花というイメージが強いと思いますが、実はとても身近な存在です。皆さん、殆どの方が「食べている」筈です。それは「バニラ」です。このバニラもランの仲間で、古い種のようです。


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