花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その3「岡倉天心 茶の本 花の章」


岡倉天心の名を知らない人は、私の世代にはあまりいないと思います(若い人はどうでしょうか?)。天心は幕末に生まれ、大正に入って没していますが、まさに明治時代をまるまる生きた人物です。日本の近代精神が西洋を相手に鍛え上げられた時代を作った一人で、一番有名な業績としては東京美術学校(現東京芸術大学)の設立に貢献し、日本美術院を創設したと言う事でしょう。近代日本美術の発展に大きく貢献した奇才です。

その岡倉天心の業績は広く知られているところだと思いますが、彼がニューヨークで出版した「茶の本」についてご存知の方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。実は私も「茶」に興味を持ってはいましたが、この本の存在を知ったのは比較的最近です。「茶の本」は英語で出版された本で、内容は七章からなり、その第六章が「花」です。この本は各出版社から解説本が出されていますから興味のある方はぜひ。

「茶の本」はその名の通り「茶」について書かれたものです。天心の慧眼は「茶」を通して日本人の普遍的な美意識を「解き明かして」います。そこは直接読まれてその精神に触れてみてください。茶の精神が「道教」にまで至りますから、正直、私自身、率直に言えばその辺りには「振り切られて」しまいますけど。

ただ、その中に書かれている「花」についてですけど、「茶道・華道」という日本文化を眺めれば、今では形式美の中に埋もれてしまったような観があると思うのですが、日常的に触れる「茶」と「花」という事であれば、両者は不可分なものであるように思います。日常の中で特に意識されることも無く、長く長く楽しまれてきた、という事で。その「茶の本」の中で描かれている「花」ですが、「太古の時代、人(男性でしょう)は好きな人(女性でしょうね)に花を捧げた時、初めて獣(けもの)の心から抜け出した」というくだりが印象的です。そこから「人の心に訴えかける」芸術の世界に足を踏み入れた、と。

そこら辺は少々小難しくなりますので、もっと印象的で端的な言葉を拾うと「人は恋をすると花に心を惹かれる」という一節です。なんとも、そのマンマですけど、人と花の関係をこれ以上分解できないくらいにスパッと言ってのけた言葉であると思います。自然界の動物でも雄が巣穴を作り、その周りを花や小石、中には割れたガラス片で飾り、その周りでダンスをして雌に求愛するものもいます(鳥類に多いプレゼンテーションという行動)。形からみれば「花を捧げる」のが人間だけとは言えそうもないようですけど、それを「文化」にまで昇華させる力を持ったのは、天心が言うように人間だけでしょう。


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