花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その37「源頼朝と北条政子をつなぐリンドウの花」



トピック イメージ 花 毎日の花の「リンドウ&スプレーマム&スターチス」の中で、古今集の「秋の野の 尾花にまじり 咲く花の色にや恋ひん 逢うよしをなみ」という「詠み人知らず」の詩をご紹介しました。大意としては、「秋の野でススキ(尾花)に混じって咲いている花のように心のままに恋をしましょう。そうしないとあなたに会えるチャンスがないから」という、現代人の感覚にも通じる、いえ、それ以上に多情多感で艶のある古の人々の想いが伝わってきます。

この詩には、有名な逸話ですからご存知の方も多いと思いますが、更に艶のある話が残されています。登場人物はあの源頼朝と、尼将軍と後に称される北条政子です。平治の乱で敗れた源頼朝は伊豆に流され、そこで北条家に監視されますが、その北条家の娘と恋仲になります。それが北条政子です。

源頼朝が狩りをしている途中で、リンドウの花を持った娘に会います。頼朝が「その花はなんだ?」と尋ねると、その娘は先の詩を告げ、「思い草と申します」と答えます。なんとも、積極的というか情熱的な女性ではないですか。政子が頼朝を慕うのを父の北条時政が許す訳はありません。都の平家に睨まれてしまいますから。しかし、政子は父の反対を押し切って、頼朝のもとに走ります。そこに源氏の平氏打倒への歴史の流れを感じ取るのは考えすぎでしょうか。囚われの身とはいえ、源氏の棟梁の息子である正当な継承者、頼朝と、情熱的な政子とがカップルとなり、武士の時代への扉を開いていく…。まるで、ファンタジーによくある話のようです。

それに由来して、源頼朝の紋はリンドウ(竜胆紋)となっていますが、実際に頼朝が竜胆紋を使っていたかどうかは不明のようです。とは言え、頼朝は源氏の嫡流であり、清和源氏です。その紋は笹竜胆。リンドウと無縁とはいえません。鎌倉幕府を開いた鎌倉市の「市の花」はリンドウです。源氏の旗は「白」で、戦闘の時は平氏の赤旗と源氏の白旗で交戦したのでしょうが、そこに紋は入ってはいません。要するに、頼朝が竜胆紋を使っていたという証拠が全く残っていないのです。

とはいえ、それはそれで真相は学者にお任せするとして、勝手に妄想を膨らませて、源頼朝と北条政子を結びつけたリンドウが頼朝の紋としてその身に纏われていたと考えると、なにかリンドウの紋が「エンゲージ・リング」みたいに感じられるのです。そして二人で時代を切り開いていく…。なんともロマンチックです。我ながら単純だとは思いますが…。

ちなみに、その想いに浸りきれない話もあります。北条政子が「思い草」と告げたのは、じつはリンドウではなく「ナンバンギセル(南蛮煙管)」であったという説があります。リンドウはリンドウ科リンドウ属、ナンバンギセルはハマウツボ科ナンバンギセル属で、イネやススキなどの根に寄生する植物です。花の開き方も色も違います。確かに寄生植物ですから、先の古今集の詩のようにススキに混じって咲いてはいるのでしょうけども、趣は違う花です。まあ、あくまでも説ですから、やはり北条政子が手にしていたのはリンドウであると思いたい…。

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