花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その10「花 色と香りが醸し出す空間」



トピック イメージ 花 花のコンテンツの中で、「切り花は香りよりも花持ちを優先して栽培されている」という事を書きましたが、ひとつの理由としては当然「長く楽しめる」という商品価値があり、もうひとつは流通上の問題でしょう。流通途上の在庫状態で少しでも長く持たせないと、商品のロス率(売り物にならなくなり、破棄する率)が高くなりますから。それは、「花」という商品を作られる園芸関係者の方の努力でしょうけど、では、その花の「香り」については実際、どうなのでしょう。「色(見た目)」は花持ちが良いという事で問題はありませんが、「香り」はどのように商品価値として考えられているのでしょうか?

これもコンテンツの中で書きましたけど、どうも日本人はあまりキツイ(強い)「香り」は好まない傾向にあります。お店で売られている花も「香り」は抑えられています。事実、花の強い香りを好まれない方は多いようで、これは香水などでも同じような事がいえるのではないかと考えます。海外の女性が使う香水は正直言って「むせる」ように強いものがあります。日本人が好む香水や香料は「ほのか」に香るものが多いと思います。

花の香りで私たちが日常好むのは、ジンンチョウゲやクチナシの花、極め付けはキンモクセイで、どこから漂ってくるのか分からないほどの、それでいて確かに甘く優しい香りを感じます。何かの本で読んだ事があるのですが、中国では「花の香りこそが艶である」という考えだそうで、彼らは花の香りを尊び、「春は蘭、秋は菊」を詩にも歌って好むとの事です。

香水を考えてみると、もともとは体臭を隠すもので、日本にも匂袋(においぶくろ)というものがあり、これを和服に忍ばせたり、和服に香を焚きしめたりしますが、これは体臭を消すというより、興(おしゃれ)のようなものでしょう(平安時代には体臭を消すという目的もあったようですけど)。焚く「香」を比べてみても、海外のものは失礼ながら強烈です。日本の香は微かに香るものが好まれます。伽羅や沈香、白檀など。従来のものよりも香りを抑えた線香などが売れているとも聞きます。

殊更、日本の文化を特別なものとする訳ではありませんが、確かに日本は「無臭(微臭?)」の文化を持っているのかもしれません。水が豊富なので頻繁に入浴しますし、洗濯の頻度もけっこう高いのではないでしょうか。人から聞いた話ですけど、外国の方は香料の強い歯磨きを使って、その後、日本人のようにしっかりと口をゆすがず、その香りを口に残すという事です。また、確かに海外で向こうの人の独特な体臭に(失礼ながら)辟易とした事はありますが、どうもそれは、その方の個性の一部であるとか…。

…となれば、やはりこれは文化ですね。「花(部屋の中に飾るための)」を商品として栽培される方はその「香り」を「花持ち」の為の犠牲にしているのではなく、適度なものに抑えるよう品種管理をされているのでしょう。自然に生えているユリはむせかえるくらいの香りを持っていますけど、お店で売られているユリはそれほどでもなく、中には無臭のユリもあります。日本人の繊細さは香りだけでなく、色の好みにも現れていると思います。見た目に豪華な原色ではなく、例えば「日本の伝統色」ですが、「薄紅梅(うすこうばい)」と「鴇色(ときいろ)」、「梔子色(くちなしいろ)」と「鬱金色(うこんいろ)」、「桔梗色(ききょういろ)」と「紫苑色(しおんいろ)」等々、並べてみても区別がつかないほど微妙な違いの色合い。それを感じる事ができるのでしょう。

日本人が好む花は、繊細であると同時にシンプル。まさに「侘び」に通じる趣。それは生活空間を清楚なものにしてくれるのかもしれません。花を飾ると、その周辺に「余計なもの」「不要なもの」が無くなります。花の「色」と「香り」は、まさに日本人が好む空間を意図せぬ内に、醸し出してくれるのだと思います。

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