花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その11「日本もいずれは切り花の季節感を失う国になるかも…」



トピック イメージ 花 切り花に関しての興味深い事を、岐阜大学の資料で見る事ができました。アメリカの切り花市場のの80%はバラ、カーネーション、キクで占められているそうです。それにチューリップ、ガーベラ、ユリの3品目を加えると市場のシェアは90%になるそうです。90%といえば統計的には「全て」といっても良いほどの数字です。では、アメリカの方々はこの6品種の切り花で満足しているのでしょうか? 決してそうではないでしょう。そこには限られた花しかなく、季節感などを感じることは難しいでしょう。飾る楽しみ、花を組み合わせる楽しみも限定されています。

では、なぜそのような状況になるのでしょう。答えは、殆どの切り花を「輸入」に頼っているため、大量生産、大量販売(流通)の結果、そうなってしまったのだそうです。アメリカの切り花の主要な輸入国はコロンビアとエクアドルだそうです。そこでは、とてつもなく広い大農場で大量の花が栽培されています。管理上、ビジネス上の効率を考えれば多くの品種を栽培するよりも、少ない品種を大量に栽培する方が効率的でしょう。もう一つの理由としては国の政策として、周辺国からの麻薬密輸を防止するために、麻薬の原料となる大麻やケシの花から、切り花への「転作」を推進しているという事情もあるようです。

いずれにしても、その結果として、国内の切り花生産業者は壊滅的となり、流通上の都合で大量に「同じような花」が市場に流れ込んできます。前述の6品種以外の切り花は店頭から姿を消し、自分の好きな花は売っているお店を探してくるか、自然の山野で自生しているものを自分で探してくるか、さもなければ自分で栽培でもしなければ手に入らないという事になります。流通も管理のしやすさ(ビジネス効率)から、それを受け入れ、花の販売もその主体がスーパーマーケット中心となり、そうなると当然、いわゆる「お花屋さん(Flower Shop)も衰退していく事になります。街の風景の中から、そうしたお店が姿を消していく訳です。

ここまで読まれた方の中で、気付かれた方もいらっしゃると思いますが、日本もそうした状況に近くなってきています。日本の切り花も、インド、コロンビア、マレーシア、そして中国からの輸入が増加傾向にあります。アメリカに比べればまだまだ花の種類はバラエティさを失っておらず、お花屋さんも元気です。しかしながら、傾向としてはアメリカと同様な方向に向かっているようです。もちろん、日本の場合はアメリカのように、「麻薬撲滅」という国策のようなものは無いと思います(多分)が、流通上の問題で同じ事は起き得ます。輸出国や流通側がビジネス効率を求めるのは避けようがありませんが、末端の販売側が「効率」を受け入れてしまうと同じような事が起きるでしょう。

「売る側」が「花持ちの良さ」「水揚げの良さ」「均一な品質」「安定供給」へと安易に流されれば、私たち日本も「季節感」を切り花から失うかもしれません。部屋の中を飾ってくれる花から季節感のみならず「飾る楽しさ」そのものも失ってしまうかもしれません。お花屋さんも安易に効率を求めるより(季節への感受性が高い日本の場合は大丈夫だと思うのですが)、創意工夫によって切り花の「多様さ」に努力し続けてほしいものです。私たち、最終的な利用者ができる事は、温室栽培で殆ど周年化してきている切り花を、それでも、こちらも工夫して季節感を出すように「楽しむ」ことでしょうか。季節の生み出した多様性こそが「花の楽しさ」の根本です。

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