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花のお話 その20「チューリップバブルをご存知でしょうか?」



トピック イメージ 花 チューリップバブル」という言葉をご存知でしょうか? 花に関する話ですが、「美しく」も「楽しく」もない話です。この「バブル」は経済活動で起こる、あの狂乱的な「欲」の連鎖とその果ての「破滅」の事です。正直、私は知りませんでした。本サイトのコンテンツを作るために色々と調べているうちに出会った言葉です。バブルはどこにでも起きるのでしょうが、チューリップという可憐な花がその対象になるとは…。正確には、「チューリップの球根」が対象となったバブルです。

時代は17世紀前半、場所はオランダです。オランダの北部の州が連合して、スペインとの八十年戦争に勝利し、ネーデルランド連邦共和国(オランダ)として独立します。それを機にオランダは海洋帝国として世界の富を集め、ヨーロッパに君臨する豊かな国となります。ヨーロッパにチューリップが伝えられたのは16世紀で、オスマン帝国からです。オスマン帝国では、チューリップは建物や衣服の意匠として使われ、愛されてきた花だそうです。そしてオランダにも豊富な種類のチューリップが伝えられます。

オランダは春が涼しく、水はけの良い適度に湿った土壌を持つため、チューリップの栽培に適した環境であり、オランダの園芸家はその栽培に力を入れ始めます。チューリップは王族や貴族などの上流階級の人に愛され、盛んに栽培されるようになります。オランダの国花はチューリップです。チューリップはなかなか大量に育てられる花ではないようで、そうなると需要に供給が追い付かなくなり、その価格は徐々に上がって行きます。しかし、この段階ではまだバブルといった様相ではなく、園芸家と市場との取引だけの事でした。

それが次第におかしくなっていくのは、職人や農民などの一般大衆が球根の取引に参加し始めるところからです。当然、一般の人はそれほどの元手がある訳ではありませんから、自分で買える範囲のものから購入します。しかし、それでも、需要の方が勝っている市場では値が上がり、例えば50ドルでかった球根が翌日には300ドルで売れます。珍しいチューリップの球根には法外な値段(例えば邸宅が買える程)が付く事もあったようです。

バブルが始まります。海外からも投機が始まり、球根が一日に数回転売される事もあったようです。チューリップはおろか、花などに興味のない人までが転売目的にチューリップの球根を買い漁り、どれだけの高値で買おうがそれよりも高い金額で売れるものですから、市場には膨大なお金が流れ込みます。こうなるともう止まりません。取引には現金や現物の球根も必要ではなくなり、わずかな内金でも取引ができるようになります。今でいうデリバティブのようなものまで登場します。チューリップの球根にウイルスが感染してモザイク病(花にモザイク状の斑模様が出たり、葉が縮れたりします)になったものなどは珍重がられて、とんでもない値段で取引されます。それがウイルス感染によるものであるという事は20世紀にならないと分かりません。

こうして、人々の「熱い欲」が更にバブルを膨れ上がらせていきますが、そのバブルは一瞬にして弾けます。ある日、ある人がいつものように球根を買い、転売しようとします。しかし、何故か売れません。バブルの臨界に達したのでしょう。そこから今度はパニックが始まります。球根の取引に多額な信用取引が行われていたため、その不安はやがて恐怖心となって一気に広がります。皆が損失を怖れて、一気に球根を売りに出します。しかし、もはや買い手がいません。球根の価格は暴落していきます。それが緩やかに起こるならまだいいのでしょうが、パニックですから国中に破産者が続出し、国が対策に乗り出した時はもう手遅れでした。

以上、特に面白くも何とも無い話で、球根を「土地、不動産」に置き換えれば、つい最近、日本でも経験した事と同じです。しかし、その面白くも無い話をどうしても書いてみたくなったのは、そのバブルに踊らされていた人たちは、当然、あの美しいチューリップの花など見てなかったでしょう、という事を言いたかったからです。それだけです。「美しいもの」を望むのも欲でしょう。しかし、バブルの欲は何も見ていません。あのオランダの美しいチューリップ畑の向こうにそんな時代があったとは…。花を愛するのも人ですけど、それが見えなくなってしまうのも人なのでしょうね。

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