花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その39「ススキ 秋の主役か 寂しい尾花か」



トピック イメージ 花 今年の中秋の名月は、曇り模様で諦めかけていましたが、なんとなんと、見事な月でした。翌日の十六夜(いざよい)の月も見事! こちらの方が満月ですが、スーパームーン! となれば、ススキの穂とお団子です。ここで、榎本武揚が、向島百花園での遊びで詠った詩をパロディで一句。「十五夜に 今宵の主を 言問はむ まずはお団子 とにかくお団子」。お粗末でした。元の詩は「朧夜や誰れを主(あるじ)と言問はむ鍋焼きうどんおでん燗酒」です。

それは置いといて、満月にススキ、そして団子という中秋の名月のイメージは、日本のものでしょうね。単に「月を愛でる」という習慣であれば、古くから中国でも日本でもあり、日本では縄文時代からあったという説もあるようです。それが「名月を愛でる」という風習となったのは、唐代の頃ということのようですが、詳しくは分かっていないようです。月見が世俗化した江戸時代では、その時期にサトイモが収穫されるので、月見団子ではなくサトイモを煮て食べていたそうです。サトイモですか…。嫌いではないですけど、お団子の方が…。ですから、十五夜の月を「芋名月」と呼ぶ地方もあるようです。お団子はこのサトイモの名残なのでしょう。

ススキが供えられるのは、それを稲の穂に見立てて「神の依り代」であるとするからのようです。月の神様、「月読命(つくよみのみこと)」はこのススキを依り代として降臨するとされていたようです。いずれにしても、この十五夜の「ススキ、お団子」といったスタイルが定着したのは意外と最近なのでしょうね。私は何となく平安貴族の十五夜の夜遊びで、ススキ&お団子が傍らにあるイメージを持っていましたけど。

しかし、起源はともかくススキというのは秋の主役。道の脇にススキの穂が波打てば、それはもう秋です。尾花ともいい、夏から秋にかけて茎の先端に赤っぽい花穂をつけ、その種子に白い毛が生えて、穂全体が白っぽくなっていきます。そして、種子は風に乗って飛ぶ準備に入ります。この、決して華やかな趣のないススキに情緒を感じるのは日本人ならではでしょうか。四季の移り変わりが豊かなこの国の自然故でしょう。

しかし、そこには「寂しさ」という情緒も同時にあるようです。「枯れ尾花」などといえば、荒涼としたイメージが湧き上がってきます。その、ススキの「寂しさ」を物語る話によく知られている伝説があります。在原業平(ありわらのなりひら)といえば、六歌仙のひとりである超イケメンの、今風に言えば、都のアイドルですが、その業平が駆け落ちに失敗し、都に居づらくなって、奥州で身を隠し、陸奥の八十島という所に宿泊している時、夜中に「秋風の 吹くにつけても あなめあなめ」という詩が聞こえてきました。声の主は野ざらしとなった髑髏で、その目にはススキが生え、風が吹くとススキが揺れて「目が痛い」と訴えているのです。

業平はその髑髏を、陸奥まで流れて亡くなったと言われる、同じく六歌仙のひとり、小野小町であると悟り、「小野とは言はじ 薄生ひたり」と下の句を付け、髑髏を葬ったといいます。これはよくある「小野小町伝説」の一つで、都で才知を誇り、絶世の美女と謳われた小野小町へのヤッカミが、多少感じられる話です。絶世の美女も最後は老婆となり、野ざらしの骸となったとか…。詩の意味は「秋風が吹くとススキが揺れて目が痛い ススキが茂っているような所ですから小野とは言いますまい」でしょう。小野とは野原の意でしょうが、ススキ生えている程度の場所ですから「野原=小野」とも言えない、ということでしょうか。

ススキには、秋という季節のせいか、名月とセットになるという主役級の趣と、冬に向かっていくという時期だからなのか、物寂しいイメージも重なります。万葉の歌人、山上憶良の詩にも詠まれているこのススキ(尾花)は、古からの日本人固有の情緒の機微の中で、その秋風に揺れている姿が、見る人それぞれに思いを湧き上がらせる自然のオブジェなのでしょう。

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