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花のお話 その47「土方歳三 豊玉発句集 一輪咲いても梅は梅」



トピック イメージ 花 土方歳三に関しては、幕末、新選組の副長として京の町で恐れられた、というそれほどに特別なものでもなく、司馬遼太郎氏の「燃えよ剣」と、それを原作とした某NHKの大河ドラマで見たイメージがすべてです。幕末という歴史のワンシーンには興味がありますけど、剣と剣で切り結ぶ、などというものには興味など持てません。ということで、幕末群像の中の一人としては存在感を示す人物だとは思っていますが、特にそれ以上の興味はありませんでした。しかし、比較的最近になって、その土方歳三の「豊玉発句集(俳句集)」というものを知り、少しそちらの方で興味を持ちました。そういえば、「燃えよ剣」の中でそれを誰かに揶揄われているシーンがあったような…。

豊玉とは土方歳三の雅号です。こうしたものは通例音読みですので「ほうぎょく」でしょう。練馬区に今でも豊玉という地名がありますが、こちらは「とよたま」、関係ありませんよね。それは置いといて、新選組では「鬼の副長」と呼ばれ、北の果てまで戦い続け、最後は狙撃の銃弾に斃れる土方歳三にそのような「嗜み(たしなみ)」があったことを知った時は、はっきり言って結構なイメージのギャップを覚えました。武人でも詩に通じている人物は、太田道灌など多々いらっしゃいますが、土方歳三が、とは…。

それで、その歌ですけど発句集には41首の詩が収められているようです。そのいくつかを読んでみて、申し訳ありませんがお世辞にも「上手の人」とは思えません。たとえば「知れば迷い 知らねば迷ふ 法の道」という歌がありますが(調べてみると、「知らねば迷ふ 法の道」ではなく「しなければ迷わぬ 恋の道」と紹介されているものもありました)、これでは余韻の持ちようがなく、そのマンマです。「山門を 見越して見ゆる 春の月」もそうですね。言い回しにも今一つ切れがないというか…。ですから、多くの人に「下手の横好き」とか、「俳句のルールも知らない」とか、身も蓋もないことに、あっさり「へたくそ」とも言われているようです。

しかし、です。色々読んでいると「梅の花 一輪咲いても 梅は梅」という一句が目につきました。正直、句の中に「梅」の文字が三つもあります。「梅」は春の季語で、これでは二重季語どころか、三重季語です。まあ、この辺りを「ルール知らず」「下手」とか言われるのでしょうが、この歌からは妙に土方歳三の「想い」のようなものが感じられるのです。家人に見せたところ、同じく「悪くはない」との感想。家人曰く、「土方歳三の、武士への憧れ、その武士の在り方に対する想いが、直球で来る」だそうです。はあ…。

確かに、この歌にはひねりや修辞ではなく、「想い」を大切にする万葉の趣を感じてしまいます。「想い」を言葉にして発する、そんな「力」を感じます。その力の源は「やまと心」でしょうか…。本居宣長の「しきしまのやまと心を人とはば、朝日ににほふ山ざくらばな」の詩に通じるような、日本の固有の風土から発するもののような「力」。それは「ルール」だ「手法」だなどが、自由律俳句の圧倒的な言葉の存在感の前に無意味となるようなものでは。この土方歳三の俳句を、尾崎放哉や種田山頭火と同列に語るのはさすがに無理があるとは思いますが、そこには家人のいうように「直球の想い」が籠められ、人の心に突っ込んでくるのかもしれません。

「梅の花 一輪咲いても 梅は梅」。確かに、土方歳三の想いが伝わってくる一句です。読み返していると、坂本龍馬の「世の人は 我を何とも言わば言え 我が成すことは我のみぞ知る」という一句を思い出しました。雅なだけが詩ではなく、そこに「想い」が籠れば、詩は言葉として以上の「力」を発するのでしょうか。それが、万葉の世からの人の技…。

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