花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その52「世界が驚いた園芸大国日本 自然を愛でる江戸の園芸文化」



トピック イメージ 花 ガーデニングという言葉を聞けば英国を思い浮かべてしまうのですが、私たちの日本が江戸の昔から世界を驚かせるほどの園芸大国であったということを聞かされると、けっこう意外な感をお持ちになられる方が多いのではないかと思います。実は私もその一人で、その事実の詳細を知るまでは、そんなイメージを持ってはいませんでした。平安の貴族文化、武士の世となっての室町文化、安土桃山と、日本独特の美意識には、現代の私たちまでも魅了する連綿とつながるものがあったと思っていますが、江戸期に武士階級や富裕な階級だけでなく、一般庶民までがみな「花好き」で、その花を上手く育てる技術を身分にかかわらず大名、町人、農民までが大切にしていたということに新鮮な驚きを持ちます。まさに万葉の世を思わせるような美意識だと思います。

その園芸の特長は、斑入り(ふいり)、矮小(わいしょう)、葉変わり(異なった形の葉)などの珍品・奇品が好まれたことにあるようです。幕末の江戸を訪れた英国人のロバート・フォーチュンは、母国で見かけない珍しい品種の多くを目の当たりにして、日本の園芸技術を絶賛します。英国人に絶賛されるとは…。フォーチュンの言葉です。「日本の観葉植物は、その多くが変わった形態にして栽培する。非常に見事である」と。

珍品・奇品が一般にもてはやされるようになったのは寛政年間(1789年~1800年)のころからのようです。主な対象は、「万年青(オモト)」「石斛(セッコク)=長生草(ボタンボウフウ)」「唐橘(カラタチバナ)」「松葉蘭(マツバラン)」などが変異した種であったそうですが、写生で絵に残っているものを見ると、現代の人の目にはあまりパッとしない大人しい植物に見えるかもしれませんが、これが「金生樹(金の生る木?)」とも言われ、まさにバブルの様相を呈していたようです。中には今のお金に換算して、一鉢に数千万以上の値がついたこともあったとか…。

そうしたものは主に支配層である武士の、特に旗本と呼ばれる「部屋住みとして肩身の狭い」立場にある次男、三男が高尚な趣味&アルバイト(売れると儲かる)としてその教養と時間をかけて創ったようです。そうしたものは特殊であるとしても、一般庶民に至るまで「植物の世話をすること」が日常の一部であるように「草花」を楽しんでいたそうです。浮世絵にもその当時の園芸文化が反映されているようです。そうした絵が海外で多くの人や芸術家に驚嘆の目で眺められたことはよく知られていることです。

葛飾北斎の絵で小箪笥の上にさりげなく置かれている鉢植えや、鈴木晴信の、女性の背景にそっと置かれている盆栽、喜多川歌麿が描く盆栽など、身近なところに溶け込んでいます。江戸時代の庶民にとっては「浮世絵」も「花」も日常のことであり、そうした、さりげないところにある植物に「手間」をかける「豊かさ」を大切にしていたのでしょう。それは現代の日本にもつながっているものだと思います。しかし、都市が土をコンクリートやアスファルトで覆い隠し、多くの家が土をコンクリートの下に隠してしまう中で、さりげない日常の中にある植物たちがその姿を見せることは少なくなっているでしょう。

しかし、江戸期に「発明(?)」された植木鉢に土を盛って花を育て、またその花の可憐さを少しだけ頂いて家の中で切り花として楽しむことはできます。多忙と言われる現代社会かもしれませんが、江戸期の人に倣って、日常にほんの少し「手間」をかける「豊かさ」を味わってみるのも楽しいものだと思います。毎日の生活に、花を飾りましょう。

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