花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花のお話 その59「秋に咲く桜 季節を勘違い? それとも…」



花のお話秋に咲く桜というと、何やら艶っぽいやら、怪しいやら、そんなイメージを持つのは私だけでしょうか。私が秋に「あれは、桜…?」と思う木を始めて見たのはもうかなり以前の11月頃だったと思います。お付き合いでゴルフをやっていたころで(下手です)、まあ、人数合わせのために呼ばれたようなものですが、その帰り道に一緒に行った方の車に同乗させていただき、晩秋の風景(ゴルフ場はたいてい山間部にあります)を眺めていた時、低い山の中腹に白というか、絵の具で言うならそれに紅を一滴たらしたような、淡い色の小振りな花が木にたくさん咲いているのが目につきました。その木に葉は無く、まるで季節外れの桜のような風情で、最盛期の秋の色が茶系の色に変わっている中で、そこだけ違う季節を切り取ったような趣の木を見つけたのです。

切り花なら大抵の花の名前や種類は分かるのですが、自然にある植物類、木や草、花には詳しくありません。車で通りすぎる間ですから、それほどマジマジと観察できるものでもありませんでしたし、いかんせん、やや遠くの景色でしたから、「山には色々な木や花があるんだ…」くらいにしか思いませんでした。その後も何度か同じ季節にその辺りを通る時、やはり同じようにたくさんの花をつけた木を山の中腹に見つけました。しかし、晩秋にあのように花をつける木があるという事に少し驚いた程度で、それが何の木なのかまでは特に調べてみようという興まで、湧きませんでしたけど。

まあ、年に一度の事ですから、それほど記憶に留まるようなことではなかったのですけど、ある時、何かの本か、新聞の記事かでたまたま、「不時(ふじ)現象」という言葉に出会いました。これは、気象庁で使われている言葉です。要するに、「春に咲くはずの桜が秋に咲いてしまう」という季節外れの現象で、それを記録に取っているようです。その原因は桜の花が咲くプロセスである「夏の間に花芽を作って、それを『休眠(成長抑制)ホルモン』によって『咲く』ことに『待て』をかけている」状態のものが、台風や天候不順や害虫のせいで夏の終わりに葉で作られるそのホルモンが十分に芽に届かず、そんな時に夏の終わりが涼しくなり、その後気温が上昇すると、それを春になったと「勘違い」をして秋に花を咲かせてしまうことがあるということだそうです。

へえ…、とは思いましたが、あの山で見た桜のような花は、どう見ても春に咲く桜(ソメイヨシノ)とは趣を異にしていました。まあ、山桜がその「不時現象」を起こしたのかと思いましたが、木に葉が無かったというのが「山桜とは違うような…」気がしましたけど、まあ、そういうことがあるんだと、自然の面白さに、「桜が勘違い」するなんて、妙に人間臭いものだと、親しみのようなものを感じました。しかし、多少の違和感は残ります。あの晩秋に見かけた花は、やはりそれとは違うように思えたのです。

何となく頭に残っていたその疑問が、ある日あっさりと解けました。引っ越してきて何年目かのことですけど、近くに大きな公園があって、そこを銀杏が散り始めたころに散策している時、あの山で見かけた木に出会ったのです。葉の無い木に花が咲いています。どう見ても「桜」のように見えます。木の幹にネームプレートがあり、それを見ると、その木の名前は「十月桜(じゅうがつさくら)」。秋に咲く桜の仲間がやっぱりあったのです。この「十月桜」は秋(10月~翌1月)と春(3月~4月)の二度咲くそうです。公園にあったものは、私が見たものと違い、少し花が疎らでしたが、その色や小振りの花は、同じものだと思えます。自然の環境で花の密度など「個体差」が出るのは珍しいことでもないでしょうから、その花を見て、ちょっと、つかえていた気分がスッとしたような。

それで、少し気になって調べてみると、「秋に咲く桜」はいくつかあるようです。十月桜の他に冬桜、四季桜、不断桜、小福桜などで、やはり秋と春に二度咲くようです。さらに面白かった説として、東京農業大学のサイトに「サクラは本来、秋に咲いていた」という記事があり、興味深いことが書かれていました。簡単にご紹介すると、「桜が秋に咲くには不時現象というより、本来、秋に咲いていたものが先祖返りした可能性がある」という内容です。そしてそのご先祖というのが、ネパールの「ヒマラヤザクラ」だそうです。ネパールから日本へと続く「照葉樹林帯」には、例えば着物の様な衣服や発酵食品、言葉の発音など文化的な共通点が多いと一般に言われていますが、その交流の中でネパールのサクラの遺伝子が日本のサクラの中に潜んでいて、それが「先祖返り」を起こす、なんていうのは「仮説」であるとしても、彼の国に咲く桜を思い浮かべて、その景色を想像してしまいます。ヒマラヤの麓に咲く桜…。雪を背景に咲く桜…。一幅の絵が浮かんでくるような趣です。

日本のサクラとネパールのサクラを遺伝的な特性から調べられたようですが、その辺りはやや専門的なので、興味のある方はサイトで詳しく、記事を読んでください。

<東京農業大学 「サクラは実は秋咲きだった!?」>
http://www.nodai.ac.jp/web_journal/adventure/vol5.html
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