花を飾る 日常をホンノリと彩る…

花の詩紹介 花の詩2


※花の名前の()内は一般的な和名です。
   フリージア (アサギスイセン:浅黄水仙)
  分類:キジカクシ目アヤメ科フリージア属
  花期(路地・鉢物):2月~4月

フリージア イラスト「古壺に 挿して事なき フリージア」
 後藤夜半
「熱高く 睡るフリージアの 香の中に」
 古賀まり子
「フリージアに わが弱き息 通ひをり」
 永田耕一郎
「フリージアに かいなきことは 言はでけり」
 中尾白雨
「フリージアの あるかなきかの 香に病みぬ」
 安倍みどり女

 四番目の詩が気に入っています。このフリージアと、キンモクセイの香りが好きです。どこからともなく淡く甘く漂い、香ってくる匂いに、思わず多くの人は目を閉じてしまうのではないでしょうか。一心にその匂いを追って…。かいなき事はその瞬間、心から消えてしまいます。

  バラ (※バラは総称 個々に名前あり:薔薇)
  ●分類:バラ目バラ科バラ属 
 
 ●花期(路地・鉢物):5月~6月 10月~11月

バラ イラスト「くれなゐの 二尺伸びたる薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる」
 正岡子規
「夕風や 白薔薇の花 皆動く」
 正岡子規
「大きなる 紅ばらの花ゆくりなく ぱっと真紅に ひらきけるかも」
 北原白秋
「薔薇ちるや 天似孫(テニソン)の詩 見厭(あき)たり」
 夏目漱石
「ふるさとや 寄るもさはるも 茨(ばら)の花」
 小林一茶

 二番目の詩はまさに正岡子規の本領発揮。みごとに景色を切り取っていると感じます。五番目の詩は小林一茶の「ふるさと」に対する複雑な思いを「茨(野バラでしょう)」にかけているのでしょう。茨は「棘のある植物」の総称ですが、バラの古称でもあるそうです。私は生まれたところにズッと住んでいるので、その心境が本当に分かるのかと言われれば答えに困ってしまいますけど…。

  スイセン (ニホンスイセン:日本水仙)
  ●分類:クサスギカズラ目ヒガンバナ科ヒガンバナ亜科スイセン属
  花期(路地・鉢物):12月~4月

スイセン イラスト「水仙や 寒き都の こゝかしこ」
 与謝蕪村
「水仙に 狐遊ぶや 宵月夜」
 与謝蕪村
「水仙の 香やこぼれても 雪の上」
 加賀千代女
「うつくしき 素足の冬の 来りけり ちらほらと 咲く水仙の花」
 与謝野晶子
「風を聞きをり 水仙の香 ほのかなる」
 種田山頭火
「世に悟る 満足もあり 水仙花」
 河東碧梧桐
「水仙も 所を得たり 庭の隅」
 正岡子規

 スイセンを詠っている詩は本当に数が多く、この可憐な花の姿が詩想を湧き上がらせるのでしょうか。三番目の詩は千代女の見る目のなんと繊細な事かと感嘆します。「朝顔に つるべ取られて もらい水」。後に「朝顔や~」と詠い直されたそうですが、その目に映る自然さは「優しさ」にも通じるのでしょうか。四番目の与謝野晶子の詩は、なんとも言えぬ透明感を感じさせてくれます。五番目の詩は山頭火の自由律詩の中では比較的奔放ではないと思いますけど、独特の余韻を残してくれます。最後の句はまさに子規。

  ナノハナ (ナノハナ、アブラナ:菜の花、油菜)
  分類:フウチョウソウ目アブラナ科アブラナ属
  花期(路地・鉢物):1月~4月
ナノハナ イラスト
「菜の花や 月は東に 日は西に」
 与謝蕪村
「菜の花の とっぱづれなり 富士の山」
 小林一茶
「菜畠に 花見顔なる 雀哉」
 松尾芭蕉
「菜の花や はっと明るき 町はづれ」
 正岡子規
「菜の花の 遥かに黄なり 筑後川」
 夏目漱石
「いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな かすかなるむぎぶえ
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな ひばりのおしゃべり
 いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな
 いちめんのなのはな いちめんのなのはな いちめんのなのはな やめるはひるのつき
 いちめんのなのはな」

 山村暮鳥 「風景」 副題:純銀もざいく

 ナノハナもスイセン同様、多くの詩に詠まれています。美しさもさることながら、やはりその「季節感」ゆえと、最後の、山村暮鳥の有名な詩のように、圧倒する景色ゆえでしょうか。一番目の詩もその圧倒されるようなナノハナの景色が解釈不要なほどにサラリと詠まれています。五番目の夏目漱石の詩は、やはり正岡子規の友人であったためでしょう、子規の影響を強く感じます。私としてはやはり最後の山村暮鳥が何と言っても好きです。ちょっと趣は違いますが、ソフィア・ローレンの映画「ひまわり」の圧倒される景色とダブります。こちらは哀しい話ですけど…。

  ヒペリカム (コボウズオトギリ:小坊主弟切)
  ●
分類:ツバキ目オトギリソウ科ヒペリカム(オトギリソウ)属
  ●
花期(路地・鉢物):花6月~8月 実:10月~11月
  キンシバイ (キンシバイ:金糸梅)
  
分類:ツバキ目オトギリソウ科オトギリソウ属
  
花期(路地・鉢物):6月~7月
ヒペリカム イラスト
ヒペリカムとキンシバイは殆ど同じ仲間です。ヒペリカムもキンシバイと同じような花を咲かせますが、違いは雄しべの長さくらいです(キンシバイの方が雄しべが短い)。ここで二つを並べて出しているのは、ヒペリカムとして詩に詠われることはないのですが、仲間であるキンシバイ(金糸梅)としては詩に詠まれているからです。切り花でヒペリカムといえばやはり「実」の面白さを楽しむもので、詩に詠まれるのは金糸梅の方です。金糸梅は野にあって詩に詠まれるのでしょう。花が弱いのか、切り花として流通しているのを見た事はありません。
キンシバイ イラスト
「金糸梅 水のひかりを ためらわず」
 六角文夫
「石垣に 金糸梅咲く 在家かな」
 鶯 竹里
「一本道 こぼれるほどの 金糸梅」
 ほし女
「金糸梅 明るき雨と なりにけり」
 中村姫路
「月の出の なまめくあたり 金糸梅」
 加賀谷杵子
「朝々の 馬場のまはりの 金糸梅」
 長谷川双魚

 どの詩にも共通しているのは、キンシバイの「明るさ」だと思います。花の形が梅に似ていて、色は本当に「鮮やか」としか言いようのない黄色です。一番目の詩はその鮮やかな明るさを「水」と交えて詠っている所が、この花の姿をそのままに表していると感じます。四番目の詩も同じように「水」と交えた純粋な「明るさ」、そして五番目の詩は光(月の光)によっては艶めかしくもある「明るさ」を感じさせてくれます。あの金糸梅の花を見ると、同じような思いが湧き上がって来るのだと思います。

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